伝統野菜の守りかた
10年ほど前、私は秋田の食材を扱う会社で働いていた。
頭の良い若者二人が立ち上げた会社で、アイディア次第で仕事は生まれる、
というのを肌で感じた会社だった。
その際に、首都圏で行われた”秋田フェア”の食材調達を私は担当した。
そして、”秋田の伝統野菜”を初めて知ることになる。
以来、伝統野菜というものがずっと気になって、何かできることはないのだろうかと考えてきたこの10年。
会社を離れてしまって、その機会を逃してしまって…。
1人の活動なんてたがが知れている、というのも身に沁みてわかる今日この頃。
しかし最近、仕事で秋田の伝統野菜を広めてきたパイオニアにお会いして、
お金やビジネスにはなりにくい”伝統野菜”の現状もお聞きした。
ならば、かえって個人の活動で細々とやることの方が
もしかして合っているジャンルなのかもしれないと思ったり。
などなど、パイオニアの熱い熱い熱量もあってすっかり”伝統野菜”熱が蘇ってきた。
パートの一つが急に休みになり、
貴重な平日の一日がまるっと空いた日、思い立って山形へ行った。
山形県鶴岡市にある「manoma」には、探していた答えに近いものがあった。
そう、手間ひまがかかり、継承する大変さを思うと、作り手ではないただの一般市民が
継承してきた農家さんたちに、「この先もがんばって継承してください」とは軽々しく言えないのだ。
私たちにできることは「食べること」。そして、もしかして「価値を伝えること」。
自分にできることをできる範囲でやろう。
何ができる?何がしたい?とあれこれ考えながらの帰り道。
いい旅だった。